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新型コロナウイルスワクチン

国内でも、ファイザー社製のワクチン接種がはじまりました。今後の新型コロナウイルスの流行を抑える切り札として期待されます。

このワクチンの有効性と安全性を検討した海外での研究が、有名な医学雑誌に掲載されています。(N Engl J Med 2020; 383:2603-2615)4万人を超える方がこの試験に参加しています。日本では、なかなか行うことができない規模です。(ちなみに、日本でも追って試験が行われましたが、参加者は160人でした。)

この試験では、本物のワクチンを接種した方々と、偽物(塩水)のワクチンを接種した方々を比較して、ワクチンの有効性と安全性を検証しています。ワクチンを接種する側もされた側も本当のワクチンを接種したのか、偽物を注射されたのかはわかりません。ワクチンは、3週間の間隔で2回接種されます。

まず、ワクチンの有効性を検証した結果を見てみましょう。下の図は、ワクチンの1回目の接種した後の日数を横軸にとり、累積した感染率を縦軸にとって、その後の感染の推移をみたものです。

青い線がワクチンを接種しなかった方(Placebo)、赤い線がワクチンを接種された方(BNT162b2)で、明らかに、ワクチンを接種しなかった方の中に、感染者が多くみられていることが示されています。グラフの下にある表をみてみますと、「≧7days after dose 2(ワクチン2回目接種から7日以上が経過した)」時点で、ワクチン接種しなかった方々では、172名が感染したのに対して、接種した方々ではわずか9名の感染にとどまっています。報道されている「ワクチンの効果が、約95%であった」というのは、この結果をもとにしたものです。

副反応について調べたのが以下の図表に示されています。

上の二つの棒グラフが、16-55歳までの方の1回目接種後と2回目接種後の副反応を示したもので、下の二つは55歳より上の年代の方々のものです。ワクチン(BNT162b2)を接種した方と、偽物(Plcebo)を接種された方々を並べて、それぞれの副反応(下の軸の左から、発熱、倦怠感、頭痛、悪寒、嘔吐、下痢、筋肉痛、関節痛)が出現した割合と、右端に解熱剤を使用した方の割合が示されています。概ねワクチンを接種した方で副反応が高くなってますが、重症度を表す色(緑、青、黄、赤の順番で重症)は、緑と青がほとんどで、軽度のものが多いことが示されています。

以上が試験の主な結果です。

極めて高い有効性と許容可能な安全性が、これだけ多くの方々が参加した試験で示されています。ワクチンの接種で、新型コロナウイルスを完全に駆逐できるところまではいかないかもしれません。しかし、多くの方々が接種を完了した後に見える世界が今より良いものになることを期待せずにはいられません。

投稿者

akihiko.su@iris.ocn.ne.jp
九州で内科医として働いています。気になる感染症の情報を勉強するためのノートです。

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